ギブス 椎名林檎
只今13日に及ぶ死のロード真っ最中、週末や休みのはずの日曜日は大宴会の準備に追われ、肩や背中はパンパンに張り、時に足までつる始末
。慢性的な睡眠不足で頭は働かない、抜け毛は増える、EDは進行する、相方のコージ君にはいやらしい言葉を強制的に言わされる、などといった有様でまさに踏んだり蹴ったりであります。体がいっぱいいっぱいになってくると自然と精神的な余裕もなくなり、瑣末なことが許せなかったり、小さな矛盾に腹が立ったり、逆に些細なことで救われたりで、「相変わらずちっこいなあ、オレ」と自嘲してみたりします。 でもまああと半分で今月も終わり、年が明ければ店も暇になってくるでしょう。あー時間ができたら酒呑んで映画観て本読んで爆睡して酒呑んで温泉入ってマッサージしてもらって酒呑むぞ![]()
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さてそれでは前回の続編、診察台に上半身裸で寝かされた料理番の運命や如何に・・・
無言のまま靴下を下げられたかと思うと、アキレス腱の辺りにちくっとした痛みが。どうやら今回はその辺から鍼を打たないといけない事態になってしまっているらしい。結局背中、肩、腕、後頭部に至るまで40本ものハリを打たれた私であったが、特に痛いわけでもないので「あら、ワタシちょっとしたハリネズミさんね
」などと独りほくそ笑むのであった。 しかし、経験のある方ならお解りだろうがハリを打たれている間というのは全く体を動かす事が出来ない。少しでも力を入れようものなら「びりっ」とした電気のようなものが走り、とてもじゃないが40もの針が刺さった状態で起き上がることなど思いもよらない。 と、その時である。「ここで大地震が来たら誰かワタシを助けるのかしら。クスス
」などとMっ気たっぷりの妄想に浸っていた私の耳に、聞き覚えのある鈴の音が飛び込んできたのは。
失念していたのだがこの病院においてはペットの猫「みーちゃん」(ベタ)は気の向くままに徘徊する自由を与えられており、玄関には「猫を出さないでね」の張り紙までしてあるのだ。なんというVIP待遇か。ネコ科は此れだから始末が悪い。しかもこの「みーちゃん」、何故か俺になついており、受付で新聞など読んでいるといつの間にかやってきて膝の上にゴロンしたりするのである。 カーテンで仕切られた密室にみーちゃんの鈴の音が響く。頭は動かせないので視線だけを音のほうに向けると、じっとわたしを見つめるみーちゃんがそこにいた。「ち、違うんだみーちゃん。これには訳が
」と、まるで浮気現場に踏み込まれたエロ美容師(フィクション)のようにうろたえ、声にならない言い訳をする私。そんなコチラを値踏みするかのように、微動だに出来ない私の周りをゆっくりと歩きまわる彼女。
その後の約20分、いつ繰り出されるか分からないみーちゃんの猫パンチに怯えつつ、「先生、俺のこと忘れてんじゃねえのか」などと多少の疑念を抱きながら、この日の治療は終幕を迎えたのであった。 ネコ科って何時だってドキドキね。
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