心を込めて花束を Southern All Stars
オープンして間もないころから、ずっとうちの店を贔屓にしてくれているお兄ちゃんたちが居りまして。爽やかイケメンスポーツマン庶民派もこみち君をはじめ、放浪インチキEXILEてっか君、無免許モミモミ師きくちゃん、元横領銀行員にして現収賄公務員イシダクン等、来始めたころはまだ23,4歳くらいだった彼らももう20代後半にさしかかり、それぞれが別々の道を自分なりに歩んでいます。そんな彼らの仲間の1人がこのたび晴れてご結婚の運びとなりまして、2次会をいかに盛り上げようかとうちの店に集ってやいやい相談しておりました。仲間の門出を盛大に祝ってあげようと、忙しい中時間を割いて顔を合せ、まるで自分達のことのように喜びを分け合う彼らの姿はなんだか羨ましく、昔の自分達を見ているようで微笑ましいものでした。 そういう場所を彼らに提供できたことは幸福なことで、これからもそうあり続けたいと願います。
さて、自他ともに認める短気者の私ですが、実はとても身近なところにもっとすごいやつがいるのです。この仕事をしているとどうしてもせかせかと飯を食う習慣が出来てしまうのですが、彼のせっかちぶりはもう圧巻です。
時折早く店が終わってしまった日など、相方コージ君と飯を食って帰ったりすることが有るんですが、生憎開いている店が限られてしまい選択の余地はあまりありません。その日も11時頃にお客さんが引けてしまい、我々は12時までやっている回転ずしの店で軽く食事しながらビールでもという事で、閉店準備に追われるすしおん○に滑り込むことにしたのです。
すでに店内には2組ほどのお客さんしかおらず、入って行った我々にバイトのお姉ちゃんはあからさまに「まさか今からかよ
」と迷惑そうな顔です。そりゃそうだよね、時計の針は11時20分を回り、「今日も1日お疲れさま
」ってところに喰う気満々のおっさん2人組ですから。 カウンターに座りとりあえずビールを注文すると、早速コージ君がインターフォンでお寿司をオーダーし始めます。厨房内ではおそらく店長さんだと思われる男性がひとりで片づけものの真っ最中で、閉店間際のオーダーにきっと渋い顔をしているのでしょう。ところがコージ君、そんなことにはお構いなしで次から次へとお寿司を頼みます。一度に3皿までと決められているんですが、頼み終わったと思いきやまた3皿、注文したものが届かないうちにまた3皿、ろくに食べる間もないうちにまた3皿です。「いやァ、店長さん中できっとアワ喰ってんだろうなあ
」なんて私が苦笑いしていると、おもむろに厨房とホールを仕切る扉が開き、店長さんらしき人物が一直線にこちらに向かってくるではありませんか。「お客様、ラストオーダーになります
。」そう告げる彼の顔が引き攣っていたのは言うまでもありません。本来ならば最後に入店した我々よりも先に他のお客さんのラストオーダーを聞くものなのでしょうが、もはやなりふり構っていられなかったんでしょうね。お気持ちはお察しいたします。
結局我々は、ビールを2~3杯ずつとお寿司10数皿をたいらげ、他のどのお客さんよりも先に風のように店を後にしたのでありました。あっけにとられるバイトちゃんと、こめかみに血管を浮かせた店長さんの顔は今でも忘れる事ができません。きっと翌日スタッフ達の話題は、コージ君の作った都市伝説でもちきりだったに違いありません。
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