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星をください   THE BLUE HEARTS

今から11年程前、僕がシドニーのボンダイ・ビーチと云うところに住んでいた時の話である。 シドニーオリンピックの際にはビーチバレーの決勝戦が行われたその町は、サーファーなども多く住んでいるところで、朝早くから海に入り、午前中はカフェでコーヒーを飲みながらのんびり過ごす若者なんかの姿も珍しくなかった。当時オーストラリアという国は失業手当というものがとても充実していて、数カ月働いた後数カ月は遊んで暮らすというような若い人達が結構いて、平日の昼間でも暇そうにプラプラしているアンチャンは山ほど居たのだ。 夜になってもビーチ沿いの通りはそれなりに賑やかで、何度か部屋の中から銃声のようなものも耳にしたことがあった。 僕が借りていた部屋はそれこそ玄関を出て30秒も歩けばもう砂の上という、まさに絶好のロケーションであったのだが、建物自体はかなり古いもので、しばしばもう日本ではめったに経験出来ないであろう「雨漏り」というやつに悩まされたりもした。

 そんな或る夜。その日は確かサッカーワールドカップに初出場を果たした日本代表の初戦の日で、テレビの無い部屋に住んでいた僕は近くのスポーツバーに出かけ、大勢の人たちとビールを飲みながら観戦していたのだ。試合は大方の予想にたがわず日本代表が敗れたのだが、世界を舞台に戦う選手たちの姿はどこか誇らしく、僕は満足しながら家路についた。  すると、ほろ酔い気分でビーチ沿いの道を歩いていた僕の行く手を、明らかに10代と思われる3人組のお兄ちゃんたちが突如として立ち塞いだ。 察するに少々酒が廻っているらしい彼等は早口のオージーイングリッシュで何事か汚い言葉らしきものを僕に向かってまくしたてると、僕に顔を近づけて嘲るような馬鹿面を作り、道路に唾を吐き捨てて去って行った。 呆気にとられて立ち尽くす僕が振り向くと、彼らは一際大声で笑いあい、楽しそうに通りの向こうに消えて行くのだった。

 部屋に着き、買ってきたビールを飲みながら落ち着いて先ほどの出来事を思い返してみると、どうやらそれが人種差別的なものであったのだという事に、鈍い頭がようやく思い至った。そして恥ずかしながらこのとき初めて、肌の色や言語や風習や、宗教や住んでいる地域や貧富の程度と言った瑣末な底の知れた物差しで他者を差別するという事が、どんなに浅はかで罪深いことであるのかを、自分の身をもって知ったのである。

 通信機器や移動手段の目覚ましい発達により、「世界は小さくなった」のだという。しかしその利益を享受する側の我々の魂がそれに追いつかないのなら、未来永劫本当には世界は小さくも一つにもなりはしないのだろう。

 先日来店頂いたお客さんの中に、中国からやってきているというお兄ちゃんが居た。建設会社の作業員として働く彼は来日3年目、ちょうどシドニーにいたときの僕と同じ23歳だという。国に仕送りをしながら建設業の勉強をしているという彼は、とても礼儀正しい若者で、職場の皆さんからも可愛がってもらっているようだった。 帰り際に「頑張って下さいね」と僕が声をかけると、「有難う御座います」と笑顔で応えてくれた。  只それだけの事だが、少し救われた気がした。 

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コメント

 初めまして。失業中です
ブログ検索「失業」でたどり着きました。
なにかいい情報でもないかとブログ徘徊してます

投稿: デパケン | 2009年7月14日 (火) 00時39分

デパケンさん、コメントありがとうconfident 失業中ですか… 不安だとは思いますけどまぁオレも明日は我が身みたいなもんですよsmile この機会をチャンスっつうことにしてなんか今までやりたいなぁと思いつつやれなかったコトでも始めてみたらどうすかね? なんか無責任で申し訳ないけど、捉え方で気分変わりませんかねhappy01sign02

投稿: 料理番 | 2009年7月15日 (水) 00時50分

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